データ復旧サービスのメリットとデメリット
ハードディスク(HDD)に保存しているデータが突然消えてしまったとき、多くの人は「自分で何とか復旧できないか」と考えがちです。しかし、データ復旧には専門的な知識と技術が必要であり、誤った対応をするとデータが完全に消失してしまう可能性があります。一方で、業者に依頼する際には、1万円前後の安価な金額で収まることがないのもデータ復旧サービス。そこで、本記事では「自力でのデータ復旧のリスク」と「業者に依頼する際のリスク」を比較しつつ、信頼できるデータ復旧業者を選ぶポイントについて解説します。
自分でデータ復旧を試みるリスク
データが消失した際、個人で復旧を試みることには以下のようなリスクがあります。
上書きによるデータの完全消失
データが削除された場合、その領域にはまだデータが残っています。しかし、新しいデータが書き込まれると、元のデータは完全に上書きされ、復旧が不可能になります。誤って復旧ソフトをインストールすることで、上書きが発生するケースもあるため注意が必要です。
HDDやSSDへの物理的ダメージ
誤った取り扱いや分解によって、HDDやSSDを物理的に損傷させる可能性があります。特に、HDDは内部に精密な部品が多いため、強い衝撃や静電気によってさらに故障が進行し、データが取り出せなくなることがあります。
復旧ソフトの誤使用による問題
データ復旧ソフトは便利ですが、誤って適用すると状況を悪化させることがあります。特に、フォーマット済みのディスクに復旧ソフトを使うと、ディスクの構造が変わってしまい、専門業者でも復旧が困難になる場合があります。
ウイルス感染のリスク
インターネット上には、無料のデータ復旧ソフトが多数ありますが、中には悪意のあるソフトも存在します。これらを使用すると、データが復旧できないばかりか、ウイルス感染によって他のデータまで危険にさらされる可能性があります。
データ復旧業者に依頼する際のリスクと回避策
データ復旧業者に依頼する場合、以下のようなリスクが考えられます。
3-1. 安価では済まない
データ復元ソフトと異なり専門業者に依頼することやサービス利用をする場合には1万円前後で済むことがありません。低価格で提供している業者もありますが、データ容量が少ない場合など、条件が限られてきます。ただし、自分でHDD開封を行ったりすることでトラブルが大きくなることもありますので、十分にご注意ください。
3-2. データの情報漏洩
データ復旧の過程では、業者が記憶媒体内のデータを閲覧する必要がある場合があります。このため、セキュリティ対策が不十分な業者に依頼すると、個人情報や機密情報が漏洩する可能性があります。
3-3. デバイスの持ち逃げや返却拒否
悪質な業者の場合、「料金を支払うまでHDDを返却しない」「復旧できなかった場合でも作業費用を請求する」などのトラブルも報告されています。
【リスク回避のポイント】
- ISMS(ISO/IEC 27001)を取得している業者を選ぶ
- Pマーク(プライバシーマーク)を取得している業者を選ぶ
- クラウドセキュリティ認証(ISO/IEC 27017)を取得している業者を選ぶ
- 「追加料金なし」「成功報酬制」と明記している業者を選ぶ
- 実績や口コミを確認し、信頼性を確かめる
4. 業者に依頼するメリット
自力での復旧にはリスクが伴いますが、信頼できる業者に依頼することで以下のようなメリットがあります。
4-1. 高い復旧成功率
データ復旧業者は、専門の設備やソフトウェアを用いて復旧を行うため、個人で試すよりも高い確率でデータを取り戻すことができます。
4-2. 物理障害にも対応可能
HDDが物理的に故障している場合、個人での対応はほぼ不可能ですが、業者であればクリーンルームなどの専用設備を使って復旧することができます。
4-3. データの安全管理
信頼できる業者であれば、情報漏洩を防ぐための厳格なセキュリティ対策を講じています。例えば、ISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得している業者であれば、データ管理の厳格なルールが定められており、外部漏洩のリスクが大幅に低減されます。
4-4. 時間と手間の削減
個人での復旧作業には時間がかかるだけでなく、適切な知識がなければ復旧が不可能なケースも多いです。業者に依頼すれば、スムーズに復旧作業が進み、迅速にデータを取り戻すことができます。
5. まとめ
データが失われた際、自力で復旧を試みることには大きなリスクが伴います。上書きや物理的な破損、ウイルス感染などによって、復旧が不可能になるケースも少なくありません。一方、業者に依頼する際にも、情報漏洩や高額請求といったリスクがあるため、慎重に業者を選ぶ必要があります。
信頼できるデータ復旧業者を選ぶ際には、ISMS(ISO/IEC 27001)やPマーク、ISO/IEC 27017の取得、成功報酬制の採用、口コミや実績の確認といったポイントを押さえることで、安全かつ確実にデータを復旧することができます。
データは一度失われると取り戻せないこともあります。適切な対応をすることで、大切なデータを守りましょう。